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新4年生の皆さんへ

このメッセージは府大の電気電子システム工学課程新4年生に向けてまとめたものです。他大学で我々のグループに興味ある方にも参考になると思います。

我々,電力システム研究グループ(グループ2)では,電力・エネルギーシステムの解析,制御,最適化,モデリングなどの教育・研究を行っています。3名の教員を含めて24名の大所帯の研究グループです。

卒業研究の学生としてグループ2に配属された場合,各学生は3名の内1名の教員の下で卒業研究に取り組むことになります。各学生に対して1つの独立した研究テーマが与えられます。研究の進め方は,関連する研究テーマの学生(同級生,先輩)とチームを構成する場合もあれば,教員と学生のマンツーマンで進める場合もあります。これは研究テーマの性格・状況と学生さんの個性・資質を見て指導教員が判断します。研究アプローチは,シミュレーション,理論,実験の全てが可能性としてあり,研究テーマに応じて何を採用するかを決めていきます。

グループ2の1つの特徴として,あらゆる点において「多様性」を重視しています。まず,教員3名の出身大学,研究経歴は全く異なっています。また,大学院生には府大以外の出身の学生さんが複数居ます。これらは,グループ2の皆さんの研究活動を,多様な観点や価値観から指導し,議論する環境形成に繋がります。グローバル化を安易に引用するのは良くないものの,多様な経歴や価値観を有するメンバーに対して,自分の研究テーマや結果を説明し,議論し,納得させていく能力は,社会に出てから今後益々必要になるものです。これに関連して,教育的見地から良い経験になると判断する場合には,企業や国内外の研究機関との共同研究への学生さんの積極的な参加を促しています。さらに,グループ2では,海外の研究者を積極的に招聘し,府大において共同研究やセミナーを実施しています(招聘研究者の2016年度実績:North Carolina State University,University of New Mexico,Cornell University,UC Santa Barbara(予定))。彼らの滞在は数日から数十日と短期の場合が多いものの,短期間でも海外のプロの研究者と交流することは非常に有益です。英会話が上達すること(英会話が必要と痛感すること?)は言うまでもありません。

グループ2の他の特徴として「自由」であることを府大の学生・卒業生からよく聞きます。学生さんが自らのアイデアで研究活動を進めていく。このような知的活動の自由は大学において絶対に守らないといけないものです。3名の教員はそのための努力を惜しみませんし,学生さんの活動を最大限サポートします。ただ,自由には責任が伴うことも理解して欲しいと思います。自由だからといっても,同じグループで研究活動を行っている以上,過度に自分本意の行動(昼夜逆転したライフスタイル,平日のコアタイムに研究室に居ない,教員の指示や指導を理由もなく尊重しない等)は,常に議論する環境を形成していくというグループ2の考えに反します。また,あくまで研究を行うグループですから,能力は別にして電力・エネルギーシステム分野の研究に意欲がない学生は歓迎されません。卒業研究で配属されたグループで研究自体を行わない自由は学生諸君にはありません。

電力・エネルギーシステム分野は,従来の所謂「電力系統工学」から大きく展開し,エネルギーを扱う様々なスケールの複合システム(System of Systems)を系統的にデザインする学問として今後発展していくと考えています。このような分野では,従来の系統工学にある方法論に留まらず,システム理論,オペレーションズリサーチ,データサイエンス,コンピュータサイエンス,応用数学等の先端的成果を学習し,次世代エネルギーシステムのデザインに応用していくことが求められます。2016年度の卒業研究のキーワードは以下の通りで,従来の電力系統工学に留まっていないことが理解できると思います。

  • 患者と看護師の同期現象
  • 生活行動の多様性とエネルギー需要モデル
  • 多端子直流ネットワークのダイナミクス
  • 蓄電設備事業者
  • 風力発電の経済性
  • ビルディング内熱ダイナミクスのデータ解析
  • 風力発電の運用
  • 工場のエネルギーマネジメント
  • “Cell Grid”

最後に,3年生の皆さんが研究グループを考えるにあたっては,グループを実際に見学し,ラボ,環境,メンバーに触れることが大切と思います。2016年度は,課程・分野の新しい試みとして,博士前期課程1年生のポスター発表会があり,その機会にグループ2の研究内容を知ることもできます。教員,メンバー,ラボは常にオープンですので,3年生の皆さんは積極的にアクセスして下さい(別のアポイントメントがあり対応できない場合は許して下さい)。

電力・エネルギーシステム分野に興味があり,グループ2の教員・先輩と共に切磋琢磨したい意欲のある学生さんの参加を待っています!

グループ2・教員一同(文責:薄良彦,2017年4月7日改)