革新的光ファイバーの設計・伝送特性・測定技術 SMFの伝送容量限界を打破するために，SDMシステムで用いるMCFおよびFMFの革新的光ファイバーの研究を行っている。これらの光ファイバーの設計では，伝送特性の把握および測定技術は極めて重要である。MCFおよびFMFの構造パラメーターを，OTDRを用いて簡単に測定する手法，干渉法による分散特性の評価法を提案した。図1に2コア2モードMCFの各コアのLP01とLP11モード間の群遅延差を同時に測定するための測定系を示す。MCFの2つのコアに光を入射させ，両コアのLP01とLP11モード間で生じた干渉波形を図2に示す。干渉波形をフーリエ変換し，各コアで生じた干渉のフーリエスペクト成分を抽出し，逆変換することで各コアの干渉波形を復元して求めた群遅延差を図3に示す。本テーマは，更なる大容量伝送用SDMファイバーの国際標準規格作成のために規定すべきファイバーパラメーター，その規格値および試験法について検討し，国際標準化へ貢献することを目標としている。 図1　MCFの干渉法による群遅延差の測定系   図2 干渉波形 図3 群遅延時間差の測定結果

光信号処理を用いた高速光信号発生・検出技術 光通信で利用されるディジタル信号処理技術は複雑な信号処理が可能な一方，電子回路の応答速度の限界や計算量増大にともなう消費電力の増加が課題となっている。この課題を解決するために，高速な電子回路や計算が不要な光相関受信器を用いた信号検出方法を考案した。さらに，これを利用したナイキスト光時分割多重（N-OTDM）システムによる大容量伝送を研究している。図4に光相関受信器の外観を示し，図5にN-OTDM信号の検出に用いる光相関受信器の構成と処理系を示す。光相関受信器はフォトレシーバーのインパルス応答を積分回路として用い参照光と信号光の相関演算を行い，N-OTDM信号の多重分離と帯域外雑音を除去する整合フィルターの役割を果たす。また，光相関受信器は，参照光形状を変化させるとフィルター特性を変化させることができ，波長分散補償への応用も可能となる。さらに，非線形光学効果を利用した波形整形や高速信号生成技術の研究も進めている。本テーマは，このような光信号処理を用いた高速光信号の発生・検出技術や高速大容量かつ省電力な通信技術の実現を目指している。 図4 光相関受信器 図5 光相関受信器を用いたN-OTDM信号検出

空間モードを活用した通信と計測技術 光通信システムの大容量化は，時分割多重, 波長分割多重の多重化により進展し，さらに，信号光の位相と振幅の利用した多値変調も実用化され，残された多重化軸は空間方向の自由度（空間モード）である。モード多重通信（MDM）では，モードの分離はディジタル信号処理（DSP）が主流であるが，DSPを用いないで空間モードを自由に操る技術，ピュアな高次モードの生成技術等も必要となる。そのために，モード変換器，モードフィルター，光導波路を使ったモード合分波器などを研究している。図6は2モードファイバーを用いた長周期ファイバーグレーティング（LPFG）による基本モードフィルターの特性を示す。高次モードのパワー比率を向上できた。一方，空間モードの計測技術としては、モード励振比およびモード結合係数の測定法などを提案した。 図7は曲げ損失のモード依存性を利用したインライン型の励振比評価法で測定した励振比設定値（横軸）と励振比測定値（縦軸）の関係を示す。また，モード変換技術とFMFを利用したファイバー干渉計による歪みセンサーなど，FMFをセンサーに応用する研究に着手している。 図6 LPFGによる波長可変基本モードフィルター 図7 曲げ法によるモード励振費の測定

R02 修論タイトル

• VAFF法による実効断面積の算出とその誤差評価に関する研究
• 反共鳴効果を用いた中空コアファイバの損失特性に関する研究
• 楕円コア光ファイバの高次モードの伝搬特性に関する研究
• CO2レーザー照削により作製したLPFGの外力による特性変化
• OTDM伝送方式における非線形ペナルティの分散補償方法依存性に関する研究
• 非線形光学効果と波長分散効果を用いたナイキストパルス発生法に関する研究

R02 卒論タイトル

• 光ファイバ中のパルス伝搬のGPUによる高速計算に関する研究
• ファイバ－アパーチャ間距離を変化させる光ファイバの実効断面積測定法に関する研究
• MLPFGによる数モード光ファイバの伝搬モード変換に関する研究
• 光相関検波を用いた光サンプリングによる波形観測に関する研究
• 非線形光学効果を利用した光ルートナイキストパルスの逆伝搬による入力波形決定法に関する研究
• 非線形光学効果を利用したルートナイキストパルス発生法のファイバ損失依存性に関する研究

H31 (R01) 修論タイトル

• 偏波保持２モード光ファイバの空間モード伝搬に関する研究
• 空間多重光ファイバのラマン利得効率と偏波モードクロストークの評価
• ガードバンドレスナイキストOTDM-WDMにおける伝送特性に関する研究
• 低デューティー比パルス伝送と整合参照光を用いた相関検波方式の非線形耐性に関する研究
• フューモードファイバ高次モードの波長分散簡易評価法に関する研究
• 光弾性効果を用いたMLPFGの透過特性に関する研究
• 長周期ファイバグレーティングを用いた振動測定に関する研究
• ＡＩＤＤ方式を用いた光相関受信機の特性と信号品質に関する研究

H31 (R01) 卒論タイトル

• 光相関検波を用いた光サンプリングの周波数特性に関する研究
• 光ファイバの非線形光学効果を用いたルートナイキストパルス発生法に関する研究
• RRCフィルタを用いたコヒーレント伝送における非線形干渉の影響に関する研究
• 周期的な揺らぎを持つ光導波路中の光伝搬に関する研究
• 2モード光ファイバを用いたLPFGの透過スペクトル特性に関する研究

H30 修論タイトル

• アナログ積分回路を用いた光相関受信器の信号品質に関する研究
• 整合参照光を用いた光相関検波による残留分散等化法に関する研究
• 全コア励振によるFM-MCFのカットオフ波長測定法に関する研究
• 2モードファイバを用いたLPFGによる広帯域モード変換器に関する研究
• 可視シングルモードファイバを用いたLPFGの特性と応用に関する研究

H30 卒論タイトル

• 中空コアファイバのテラヘルツ帯損失特性に関する研究
• 楕円コア光ファイバのLPモードの電界分布と偏波に関する研究
• 干渉法を用いたフューモードファイバの高次モードの分散特性評価法の研究
• バリアブルアパーチャー法による高次モードの電界分布の測定法に関する研究
• 可視域単一モード光ファイバを用いたLPFGの基本特性に関する研究
• ナイキストOTDMにおける残留分散の符号間干渉に関する研究
• 非線形光学効果を利用したナイキストパルスの発生方法に関する研究
• 2モードファイバにおける相互位相変調の信号に与える影響に関する研究

H29 修論タイトル

• OTDRを用いたTMFの実効断面積の測定法に関する研究
• TMFの偏波モード分散の測定に関する研究
• 干渉法を用いたTMFの分散の評価に関する研究
• VA法による空間多重用ファイバの電界の広がりの評価に関する研究
• 2モードファイバの曲げ損失評価法に関する研究
• 中空コアPBGFの表面モードがコアモードに及ぼす影響に関する研究
• フュ―モード楕円コアファイバの４モード分離に関する研究
• 短パルスと光相関検波を用いた信号劣化抑制法に関する研究
• ナイキストOTDMにおける送受信器の構成に関する研究
• ナイキストOTDM伝送の伝送容量拡大に関する研究

H29 卒論タイトル

• 2モードα乗分布コアファイバの群遅延に関する研究
• フューモード楕円コアファイバの群遅延に関する研究
• 2モードファイバの波長分散の簡易評価法に関する研究
• 光弾性効果によるLPFGの透過特性のモデル化に関する研究
• LPFGを用いた振動測定に関する研究
• 赤外ビジコンを用いたMCFのクロストーク評価のマスキングに関する研究
• LP11モードパターンの回転に関する研究
• ナイキストOTDM-WDM伝送における波長間隔の信号品質への影響に関する研究
• ナイキストOTDM信号の残留分散等化に用いる積分回路型相関受信器に関する研究
• 遅延検波を用いた光短パルス伝送の信号品質に関する研究

 

実験装置（順次追加）

モード合分波器

赤外線顕微鏡（光ファイバ近視野像観測装置）

 

シミュレーションソフト（順次追加）

OptiFiber / OptiGrating

Optsim

FIMMWAVE

(自作)

光パルス伝搬解析プログラム